中途半端な時期に
突然帰省した弟に首を傾げた岸部家一同。
弟が帰省すると
決まって恋する乙女と化す岸部母は
いそいそとすき焼きの材料を調達にスーパーあおやぎへ。
夕飯時
年に数える程しか登場することのないすきやき鍋を囲み
戦いの火蓋が切って落されようとしていた
まさにその時
「ぼくはもうみんなのアイドルではいられません!」
弟が、突然の脱・アイドル宣言。
お前がアイドルだったためしなど一度も無い
と思いながら
肉を摘もうと鍋に手を伸ばすと
母が
「あら、どうして?」
と、あっさり弟のアイドル発言を肯定しつつ
聞き返してしまいました。
「ぼくは結婚します」
あ〜なるほど、それでアイドルを‥
へ?けつ?
箸、置きなさい的なオーラが
岸部母から恐ろしい程に漂っておりましたが
照男と父はKY丸出しで肉をつついておりました。
同じくKYメンバーの弟
ご丁寧にツーショットお写真まで持参しており
締まりの無い顔でお披露目して下さいました。
で:「なんだべ!うっつぐしい(美しい)娘さんだこと〜」
弟:「えへへ姉さん女房だよ」
で:「年上!?なんだって若々しい姉さん女房だこと〜」
弟:「自分でも松嶋奈々子に似てると思うって言ってたよ」
それはどうかしら。
すると母、鼻息荒くして
「へっ、うちのお姉ちゃんの方がよっぽどいいわ!ねっお父さん!」
と、苦し紛れの負け惜しみを言い放ち
父に同意を求めると
「ぅおっ、んだ(そうだ)んだ、デガラシさん程の美人はそうそういねえがらなっ!」
と、肉に集中させてくれと言わんばかりの適当なお返事。
ちなみに父の理想の女性は上沼恵美子なので
確かにあの手の美人はそうそうお目に掛かれないのではないかと。
その後
弟の口から、「すぐにというわけではなく、いずれ結婚したいと思っている」
との言葉を聞き、焼け火箸と化した母もようやく落ち着きを取り戻しました。
再び乙女と化した母
帰ろうとしていた弟に
「きゅうり!きゅうり持っていきな!うちで採れたのだから!」
と、ダンボール箱にきゅうりをしこたま詰め始めました。
きゅうりぐらい向こうで買うべのに‥
と思いつつも、
溢れんばかりの母の愛を微笑ましく見守っていると
弟が
「あ、すみません、家内も喜びます」
と、命知らずな一言を。
あーらら‥と横目で母を見ると
なまはげの様な形相で
ダンボール箱からスーパーあおやぎの小さなナイロン袋に
きゅうりを詰め替えておりました。
それでは三本ぐらいしか入りませんが。
数週間後(来月初旬)、
弟が未来の嫁さんを連れて再び帰ってくることになろうとは
このときはまだ
誰一人知る由も無かったのです。
つづく。
ノークリック ノーライフ。ささ、おひとつ。